2023年6月13日

欧州及び北米市場展開を見据えた次世代鉛フリー快削黄銅GloBrass^®️のライセンス供与

三菱マテリアル株式会社は次世代鉛フリー快削黄銅「GloBrass®^※1」の特許について、完全子会社であるLuvata Oy（以下Luvata社）に対し、欧州および北米地域における独占的ライセンス権を供与する契約を2023年4月に締結しました。

GloBrass®は鉛に関する各種規制に準拠し、銅と亜鉛の配合見直しでメタルコストを抑制した銅合金です。当社開発品のECO BRASS®^※1と比べて、同等の強度や快削性、約2倍の導電率を有し、耐食性は及ばないものの十分な特性を有していることから、自動車部品や電子部品に利用拡大が期待される製品です。

EUのELV指令^※2及びRoHS指令^※3は、電気・電子部品や自動車部品に鉛、水銀、カドミウム、六価クロムなどの含有を禁止しています。ただし銅合金中の鉛は一時的な例外（適用除外項目）として4％まで含有が認められています。欧州委員会はELV指令の適用除外を2025年に、RoHS指令の適用除外を2026年7月に見直す予定です。尚、技術専門家から欧州委員会に対しRoHS指令の適用除外範囲を絞る提案がなされているため、特に欧州市場は銅合金の鉛フリー化が加速する見通しです。

当社およびLuvata社は、欧州地域におけるGloBrass®の市場展開を見据え、EN規格^※4の取得を進めています。また、EN規格のFRAND宣言^※5の主旨に基づき、広くGloBrass®のライセンスを伸銅メーカーへ供与し、早期の市場創造を戦略的に推進しています。

2023年5月上旬、Luvata社からドイツを拠点とする大手伸銅会社Wieland-Werke AG社（本社：ドイツ ウルム、以下「Wieland社」）へ、欧州・北米などの地域におけるGloBrass®関連特許の使用を許諾するサブライセンス契約を締結しました。Wieland社は、鉛フリー快削黄銅ECO BRASS®のライセンス契約を2003年に締結し、これまで欧州および米国における販売拡大に寄与した会社の一つです。GloBrass®についても、同社ネットワークによる早期の市場浸透を期待しています。

続いて同年5月下旬、Luvata社はトルコを拠点とする大手伸銅会社Sarbak Metal Tic. Ve San. A.Ş.（本社：トルコ イスタンブール）と、欧州地域におけるGloBrass®関連特許の使用許諾についてサブライセンス契約を締結しました。同社もECO BRASS®の販売拡大に寄与した会社であり、環境に優れた鉛フリー黄銅製品の市場拡販に注力しています。

当社グループは、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを「私たちの目指す姿」と定めています。今後も独自の技術を活かし環境に配慮した製品を開発し、市場へ普及させることで社会に貢献してまいります。

※1 GloBrass®、ECO BRASS® 製品サイト
URL：https://www.mitsubishi-copper.com/jp/products/materials/ecobrass/

※2 ELV指令（End-of Life Vehicles）とは、廃自動車による環境負荷の軽減を目的としてEUが定めた指令。

※3 RoHS指令（Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment）とは、電気電子機器に含まれる特定物質の使用制限に関する指令。

※4 EN規格とは、欧州規格（European Norm、EN）の略称であり、欧州連合（EU）において使用される技術規格。EN規格は、EU加盟国の技術的な統一を促進し、共通の基準を確立することを目的としたもの。

※5 FRAND宣言（FRAND declaration）とは、"Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory"（公正・合理的・非差別的）の頭文字を取ったもので、特許権の保有者が自らの特許を標準技術に対して公正かつ合理的な条件で利用可能なものとし、かつ特定のライセンスを適用する際に差別しない宣言をすること。