三菱伸銅株式会社(取締役社長:堀 和雅、資本金87億円、以下「当社」)は、三菱マテリアル株式会社(取締役社長:小野 直樹、資本金:1,194億円)と共同で、ハイブリッド車や電気自動車等の高電圧・大電流用車載端子・バスバー※1に要求される高い性能を備えたCu-Mg系固溶強化型銅合金「MSP®8」(以下、「MSP®8」)を開発いたしましたが、このたび当社は量産を開始いたしましたのでお知らせいたします。
ハイブリッド車や電気自動車等の環境対応車は、世界的な伸長が予測されていることから、高電圧・大電流用途の高圧端子やバスバーなどの通電部材の市場は今後も順調に成長すると見込まれます。当社では「MSP®8」を2016年から通電部材用を中心に顧客へサンプルを提供して、顧客から高い性能と信頼性を評価されて採用に至っています。
「MSP®8」の特徴は以下の通りです。
当社は、高性能固溶強化型銅合金としてCu-Mg合金の『MSP®シリーズ』を製造販売しています。車載向け端子、バスバーやリレーで長年にわたって好評をいただいている「MSP®1」や、より高い強度と曲げ加工性、低比重を有し、小型端子に最適な特性を持つ「MSP®5」が車載用電子・電気機器用銅合金として多くのメーカーで採用されています。今後はバスバー、リレー、高圧端子といった高電圧・大電流用途に最適な「MSP®8」を『MSP®シリーズ』に加えて、次世代自動車などのさらなる電装化推進に貢献いたします。
当社および三菱マテリアルグループは、長期経営方針において、「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するリーディングカンパニー」となることを目指しております。今後も独自の技術を活かした製品開発により、社会に貢献してまいります。
※1.バスバー:
主に配電盤や制御盤において、電源を各部分に接続する導体部品です。素材には主に銅が使われます。
図1 用途例:小型ジャンクションボックス(矢印部がバスバー)
※2.耐応力緩和特性:
高温で長時間使用する時に優れたばね性を示す指標として、耐応力緩和特性があります。耐応力緩和特性とは、ばね性を発揮する弾性変形範囲内の荷重をかけて、例えば150℃の高温環境下で1,000時間保持した後に、どれだけばねが弱らず耐えるかを示す指標です。
下図に示しますように、耐応力緩和特性に優れる合金の場合は、高温で使用してもばねが弱らないため、オス型端子とメス型端子間のばねの嵌合接合力は十分に保持されます。一方で耐応力緩和特性に劣る合金の場合は、高温で使用するとばねが弱り、オス型端子とメス型端子間のばねの嵌合接合力が低下します。このような状態で振動等が加わるとオス型端子とメス型端子間の信号伝達に支障を生じる場合があります。
図2 端子コネクターの嵌合接合と耐応力緩和特性の関係
※3.嵌合接合力:
コネクター等におけるオス端子とメス端子の寸法差による嵌め合いの接合力のことです。図2に示した端子の場合は、メス端子側の板ばね部分のばねの力でオス端子と接合しています。
以上