三菱マテリアル銅加工事業

三菱マテリアル銅加工事業

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CASE STUDY

クリーンブライト導入事例

京都の老舗茶筒メーカー、開化堂も採用した銅合金。
耐変色と除菌の効果とは

写真左から:株式会社開化堂 六代目 八木 隆裕氏、原 晃氏

1875年創業、京都の地で老舗茶筒メーカーとして長い歴史を歩んできた開化堂。
同社が新たな製品開発で選んだのは、意外な最先端のマテリアルだった。工業製品らしからぬ華やかな色合いと、除菌性能を発揮する優れた機能性で、選ばれた銅合金「クリーンブライト」が業界内でひそかに注目を集めている。
開化堂のエピソードを交え、最先端マテリアルの活用事例を紹介する。

現存する最古の茶筒メーカー「開化堂」が挑んだ新製品開発

1875年に京都で創業した開化堂は、現在も事業を続ける手作り茶筒メーカーの中で最も長い歴史を持つ。創業のきっかけは明治期にイギリスからブリキが輸入され、新しい保存技術としてブリキを用いた茶筒を作ったこと。製法は当時から変わらずに脈々と受け継がれてきている。

「創業当時に作られたものでも、何世代にわたって愛着をもってお使いいただけます。おじいさん、おばあさんが使われていた茶筒をお孫さんが弊堂で修理することもあるなど、使っていただいていますね」。こう語るのは、開化堂で六代目を務める八木隆裕氏だ。

大事な道具とともに歩んでいく、技術を受け継いでいく、そうした役目を果たしているのが開化堂だ。そうした伝統を紡ぐなかで、日々、さまざまなチャレンジに取り組んでいるという。

2016年、あるホテルチェーンから開化堂に相談が届いた。その内容は新たに京都で展開するホテルの客室に置く茶筒を作ってほしい、というものだった。これまで開化堂はブリキや銅、真鍮(しんちゅう)を主な素材として使ってきた。こうした素材は、時間の経過とともに味のある色合いへの変化を楽しめることが魅力の1つである。例えば銅であれば飴色になったり、真鍮であれば深みある色合いになったりする。

しかしながら不特定多数の人が利用するホテル客室で使用するというシーンを考えると、パーソナルな色合いの変化よりも変色しにくい素材が求められる。またホテルのインテリアに馴染む、スタイリッシュなデザイン性も必要だ。

このような背景から、開化堂が注目したのが三菱マテリアルの開発した銅合金「クリーンブライト」である。クリーンブライトはニッケル・亜鉛を含む銅合金で、シルバーとゴールドの中間色である「シャンパンゴールド」という上品で落ち着いた光沢のある色合いで開化堂では淡黄銅と表現されている。

華やかな色合い、変色のしにくさで選ばれた「クリーンブライト」

なぜ、開化堂はクリーンブライトに注目したのか。最大の理由はその「耐変色性能」にある。もっとも、変色しにくく輝きのある素材という点では、ほかにもステンレスやチタンといった従来の素材も候補になるだろう。しかしこれらは加工が難しいだけでなく工業製品としてのイメージが強かったため、伝統工芸とは馴染みにくく、また上質感を演出しにくい側面もある。

「クリーンブライトはもともと使っていた真鍮に近い性質で加工しやすく、すぐに投入できました。淡く上品な色合いも、弊堂の好みにも合っていたと思います」と開化堂にて素材の裁断を担当する原晃氏は語る。

そして、ホテルチェーンにも華やかな色合いが気に入られ、クリーンブライト製の茶筒が一部の客室に置かれることとなった。

クリーンブライトを用いて製造された茶筒の見本。
シャンパンゴールドの色合いが上質感を演出する

歴史ある茶筒メーカーのさらなる進化へ貢献

この茶筒はホテルチェーン用の特注品だったが、現在では一般向けのラインアップとしても展開している。真鍮以外の茶筒を楽しみたいという目的で購入する人もいれば、プレゼント用に選ぶ方もいる。従来の素材ではなく、新しいマテリアルを使用したという点に興味をもってもらうこともあるという。

そのほかにも開化堂では、スツールのオーダーメイドを受けたこともあるといい、素材の強度からクリーンブライトをおすすめし、特注品として納入している。

このようにクリーンブライトは、歴史のある茶筒製造を着実に進化させていくための素材として活躍している。

「150年続いてきた開化堂の歴史を、この先150年も伸ばしていくことが私たちの役目です。遠くから弊堂を見たとき、茶筒という1本の道を進んでいるだけにしか見えないかもしれませんが、近くからみれば、常に挑戦を繰り返し、それがたとえ小さな一歩でも新しい領域を開拓しながら進んできました。そうした取り組みのなかでクリーンブライトという素材を活かし、これまでにない何かを生み出していくことは今後もあると思います」(八木氏)

これからの同社が期待することは、より加工しやすい形での提供だ。三菱マテリアルでも現在、新たな形状での製造開発を進めている段階となっている。「インゴットのような形状で提供いただけたら、モノづくりの幅は大きく広がっていきますね」と原氏も語り、今後のさらなる発展に同社も期待を寄せている。

認証取得済みの高い除菌性能

ここまで開化堂の活用事例を紹介してきた。この事例では、クリーンブライトの耐変色性能が評価されたものだったが、そのほかにも選ばれる理由がある。大きな特徴の1つが、コロナ禍で注目された「除菌性能」だ。クリーンブライトは、一般社団法人日本銅センターから超抗菌性能認証制度「CU STAR」も取得している。

クリーンブライトは、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス、ノロウイルスといったウイルスに対して有効で、15分以内で不活性化できる。なかでもエンベロープという膜構造を持たないノロウイルスなどのウイルスにはアルコールが効かず、次亜塩素酸ナトリウムなどの強力な殺菌剤でなければ効かない。その点、クリーンブライトはこれらのウイルスにも効果を発揮する。

わずか10分でコロナウイルスを不活性化

また黄色ブドウ球菌や大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌といった菌類に対しても有効だ。なかには抗生物質が効かない耐性菌も存在するが、そのような菌類にもクリーンブライトは有効である。

「除菌性能は時間の経過とともに低下するのではないか」と疑問に思う方もいるかもしれないが、クリーンブライトでは5年にわたって効果を発揮し続けるという検証データもある。

また、耐変色性能の面では、人の手に触れることの多い病院のドアハンドルで11年間使用した結果、目立った変色は認められなかった。一方、黄銅製のドアハンドルではわずか2年で赤黒く変色している。

除菌性能で広がるクリーンブライトの活用シーン

このような「耐変色性」、「除菌性能」、「意匠性」から、クリーンブライトは住宅のインテリアをはじめ、医療機関のベッド柵やナースカート、公共スペースなどにも相性がよく応用が期待される。また一般消費者向けの製品として、電車・バスのつり革を直接触れないように、クリーンブライト製のアシストフックへの利用なども可能だ。

クリーンブライトは歴史ある伝統工芸から、最先端を進む高級ホテル、医療機関までその優れたデザイン性、機能性で選ばれている素材である。「耐変色性能」により洗練されたインテリアとしての利用や「除菌性能」という特徴を活かし、不特定多数の人が出入りするスペースでの活用など、さまざまな選択肢が考えられる。

この他にも、複数の人が共同で使用する可能性がある場所に置くペンなどの文房具類、小物入れなどのトレイ、温水洗浄便座のノズル部分や車のハンドル、時計のベルト部分など、日常には除菌性能やデザイン性が必要とされるシーンは多く、アイデア次第でさまざまな活用が期待できる製品だ。

ぜひ三菱マテリアルのクリーンブライトを活用して新たな製品開発を検討してみてはいかがだろうか。

お問い合わせ先

三菱マテリアルトレーディング(株)

営業本部 電子材料部 TEL:03-3660-1745

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